CentOSサーバーの構築は、Webサイトの運用やアプリケーション開発、あるいは自宅サーバーの構築など、様々な目的で必要となるスキルです。本記事では、CentOSサーバーの構築について、OSの選び方から基本設定まで、初心者向けにわかりやすく解説します。サーバー構築の第一歩を踏み出しましょう。

CentOSとは?サーバーOSの基礎知識
CentOSは、Linuxディストリビューションの一つで、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)をベースに開発されています。RHELとの互換性が高く、安定性とセキュリティに優れているため、多くの企業や個人ユーザーに利用されています。CentOSは無償で利用でき、活発なコミュニティによるサポートも充実しています。サーバーOSとして、CentOSは高い人気を誇り、その理由は安定性、セキュリティ、そして豊富なソフトウェアパッケージにあります。

CentOSのバージョン選びとダウンロード
CentOSには、様々なバージョンが存在します。現在ではCentOS Streamが主流となっていますが、CentOS 7やCentOS 8もまだ利用可能です。CentOS Streamは、RHELの次期バージョンを先行して提供するもので、常に最新のパッケージを利用できます。一方、CentOS 7やCentOS 8は、安定版として長期的なサポートが提供されています。CentOSの公式サイトから、適切なバージョンのISOイメージファイルをダウンロードしましょう。ダウンロードする際には、サーバーの要件や目的に合わせて、適切なバージョンを選択することが重要です。

CentOSのインストール手順
ダウンロードしたISOイメージファイルを使用して、サーバーにCentOSをインストールします。インストール方法は、物理サーバーへの直接インストール、仮想マシン(VMware、VirtualBoxなど)へのインストール、クラウド環境(AWS、GCP、Azureなど)へのインストールなど、様々な方法があります。ここでは、一般的な仮想マシンへのインストール手順を解説します。まず、仮想マシンソフトウェアで新しい仮想マシンを作成し、ダウンロードしたISOイメージファイルを仮想CD-ROMドライブにマウントします。次に、仮想マシンを起動し、CentOSのインストーラーを起動します。インストーラーの指示に従い、言語、キーボードレイアウト、タイムゾーンなどの基本設定を行います。

次に、インストール先ディスクを選択し、パーティションの設定を行います。パーティションは、/(ルート)、/boot、/home、swapなど、用途に合わせて適切なサイズで作成します。初心者の方は、インストーラーが自動的にパーティションを作成するオプションを選択することも可能です。ただし、後でディスク容量が足りなくなる可能性もあるので、ある程度理解しておくと良いでしょう。ネットワーク設定では、IPアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイ、DNSサーバーなどを設定します。固定IPアドレスを設定することをおすすめします。

インストールが完了したら、rootユーザーのパスワードを設定し、再起動します。再起動後、rootユーザーでログインし、基本的な設定を行います。
CentOSの初期設定
CentOSのインストール後、まず行うべきは、システムのアップデートです。以下のコマンドを実行して、最新のパッケージをインストールします。sudo yum update -y
このコマンドは、システムのセキュリティを向上させ、最新の機能を利用可能にするために不可欠です。アップデートには時間がかかる場合がありますが、完了まで待ちましょう。

次に、ファイアウォールの設定を行います。CentOSでは、firewalldがデフォルトで有効になっています。firewalldの設定を行うことで、外部からの不正アクセスを防ぐことができます。以下のコマンドで、SSH(ポート22)を許可します。sudo firewall-cmd –permanent –add-service=ssh
sudo firewall-cmd –reload
また、不要なポートは閉じ、必要なポートのみを開放するように設定します。

rootユーザーでのログインは、セキュリティリスクを高める可能性があります。そこで、一般ユーザーを作成し、sudoコマンドでroot権限を付与することをおすすめします。以下のコマンドで、新しいユーザーを作成します。sudo useradd [ユーザー名]
sudo passwd [ユーザー名]
次に、作成したユーザーをwheelグループに追加し、sudo権限を付与します。sudo usermod -aG wheel [ユーザー名]
これで、作成したユーザーでログインし、sudoコマンドを使用してroot権限で作業できるようになります。

CentOSのセキュリティ対策
CentOSサーバーのセキュリティ対策は、非常に重要です。まず、定期的なセキュリティアップデートを行い、常に最新の状態を保つことが重要です。yum updateコマンドを実行し、最新のパッケージをインストールしましょう。次に、不要なサービスを停止し、ポートを閉じることで、攻撃対象を減らします。例えば、使用しないHTTP/HTTPSサービス(Apache、Nginxなど)は停止しておきましょう。

パスワードの強度を高めることも重要です。rootユーザーや一般ユーザーのパスワードは、十分に長く、複雑なものに設定しましょう。また、SSHの鍵認証を設定し、パスワード認証を無効にすることで、不正アクセスを防ぐことができます。さらに、Fail2banなどの不正ログイン対策ツールを導入することも有効です。Fail2banは、不正なログイン試行を検出し、一定時間IPアドレスをブロックする機能を提供します。

ログ監視も重要です。システムのログを定期的に確認し、異常がないかを確認しましょう。ログには、システムの動作状況やエラー情報、セキュリティに関する情報などが記録されています。不正アクセスや異常な動作を発見した場合は、速やかに対応する必要があります。セキュリティ監査を実施し、システムの脆弱性を定期的にチェックすることも有効です。

CentOSサーバーの運用管理
CentOSサーバーの運用管理は、継続的に行う必要があります。まず、定期的なバックアップを行い、万が一の事態に備えましょう。バックアップは、データ損失を防ぐための最も重要な対策の一つです。バックアップ方法としては、rsyncやtarコマンドを使用したファイルバックアップ、LVMスナップショットを使用したボリュームバックアップなどがあります。

サーバーの監視も重要です。サーバーのCPU使用率、メモリ使用量、ディスク容量などを監視し、異常がないかを確認しましょう。監視ツールとしては、Nagios、Zabbix、Prometheusなどがあります。これらのツールを使用することで、サーバーの状態を可視化し、問題が発生した場合に速やかに対応できます。また、ログローテーションの設定も行い、ログファイルの肥大化を防ぎましょう。

CentOSサーバーの構築は、Webサイトの運用やアプリケーション開発の第一歩です。OSの選び方から基本設定、セキュリティ対策まで、本記事で解説した内容を参考に、ぜひCentOSサーバーの構築に挑戦してみてください。
